鹿児島県に属し、8つの有人離島で構成されている奄美群島。そのほぼ中央に位置しているのが徳之島です。島を訪れるには、鹿児島、奄美大島、沖縄県の那覇を経由する必要がありますが、奄美大島からは飛行機で約35分。気軽に足を伸ばせるため、ぜひ一緒に訪れることをおすすめします。
天城岳・井之川岳・犬田布岳を中心とした徳之島の山岳地帯には、スダジイやオキナワウラジロガシなどの常緑広葉樹が優占する森林が広がっています。森林にはアマミノクロウサギをはじめとする希少な動植物が多数生息していますが、トクノシマトゲネズミやオビトカゲモドキ、トクノシマエビネなど、徳之島の固有種も少なくありません。
このような希少生物が生息する山地は島の中央部にあり、その周緑部を石灰岩の台地が取り巻いています。海岸線に向かって緩やかに傾斜した台地にはサトウキビ畑やゴマ畑が広がり、さらに海岸部まで出ると、浸食されてできた奇岩や南の島では珍しい花崗岩の海岸「ムシロ瀬」も見ることができます。こうした徳之島の自然が見せる多彩な表情は、人々の心を魅了してやみません。
徳之島を訪れる際はぜひ、貴重な植物を観察するハイキングや生物多様性を間近で感じられる森の散策、奇岩や遺跡・史跡巡りなどさまざまな自然体験を。地域の森や山に詳しいガイドとともに巡ることで、この島が世界自然遺産に登録された理由を学ぶことができます。