世界自然遺産 時を紡ぐ、彩りの島 奄美・沖縄

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4つの地域はいずれも有人島で小規模な島嶼でありながら、絶滅危惧種88 種を含む固有種・希少種等が生息しています。それらの野生生物が生息する生態系は、人々の暮らしとも非常に近接し、また一部は重複しながらもその価値が維持されてきたこと等が、世界自然遺産に値すると評価されました。

最も評価されている特徴は、琉球列島の地史です。大陸との分離・結合を繰り返しながら独自の生物の進化、種の分化が起きている過程を明白に表す顕著な見本となっています

常緑の広葉樹スダジイ。古くから主要な材木として林業を支えきました。ドングリを豊かに実らせ、森の動物たちの食料になることで生物多様性との両立を可能とし、絶滅危惧種や固有種の生息・生育地を維持し、人々との共生を繋いできました。

4つの地域には、地域の住民が自然資源を利用しながら引き継いできた認識や自然とのつきあい方を基に生活を営んできた長い歴史があります。そして今なお信仰・行事・芸能など自然環境に根ざした文化も色濃く残っています。

豊かな自然や固有の文化資源を生かしたエコツーリズムなどの体験滞在型観光を通じて、自然環境への親しみと理解を深めることで世界自然遺産としての真の価値に触れることができるでしょう。

「俳優の尚玄さんは、世界中の世界自然遺産を巡っているそうだ」、企画のコンセプトは、一瞬で決定した。
沖縄出身で造詣の深い「旅人 尚玄」が、島を巡りさまざまに出会うドキュメント。
それぞれの島が誇る自然の豊かさ同様に、そこに根付く「土地の魅力」を切り抜く旅に出た。

旅は、徳之島亀津港から始まった。奄美大島や沖縄間の行き来には是非、船で旅の風情を感じて欲しい。
最初に案内された阿権集落。樹齢300年のガジュマルの姿に見とれていた。「美しい」、ただひたすらに感動した。
牛飼いの9人兄弟は、毎日欠かさず牛の世話をしているそうだ。「9人兄弟?」耳を疑わざるを得なかった。

奄美大島で、我々は山道を歩き森の深さを知った。パノラマの景色に観る山々の稜線の麓には人の営みがあった。
大島海峡や焼内湾に映る空は、言葉では伝えられないほど美しい「青」があった。
その晩、三太郎峠でアマミノクロウサギ他、多数の動物撮影に成功した。我々は、黒糖焼酎で祝杯をあげた。

西表島に渡った我々は、ピナイサーラの滝の頂上を目指した。機材が濡れないようにカヌーで川を上る。
マングローブの干潟、ここは自然の宝庫。カニや小魚、それらを狙う水鳥など一連の食物連鎖が見てとれる。
頂上では、絶景が我々を待っていた。重たい機材を背負った道中の苦労が、報われた瞬間であった。

「ヤンバル」と呼ばれる沖縄島北部。この森だけに棲むヤンバルクイナの観察小屋で「キョンキョン」に癒される。
だが、「世界中でここにしかいない」というフレーズが、今は重くのしかかる。それぞれの島で出会った事柄は、全てが唯一無二の存在であったが、我々はその尊さに畏敬の念を抱いていただろうか、表現者としてありがたさを伝えられるだろうか。シヌグ祭を終えた時、我々ははじめて自然の一部になれたような気がした。