日本最大のマングローブ原生林を有する西表島は、そこで生息する生き物の多くが自然の恩恵を受けています。島の名物食材として有名なガザミもそのひとつ。西表島のガザミはノコギリガザミ、別名マングローブガザミとも呼ばれており、マングローブの根元に生息するワタリガニです。大きなハサミが目をひくガザミは甲羅の上部分がノコギリのようにギザギザしており、赤・茶・青緑の体色が特徴。肉厚で弾力のある身はみずみずしく、食べるとほんのりと甘く感じます。コクと深みがある味わいは、マングローブが育んだ養分を存分に取り込んでいる証拠です。
西表島で人気のあるレストラン「キッチン イナバ」では、西表島で捕獲したガザミを使った「ガザミパスタ〜濃厚トマトクリーム〜」を数量限定で提供しています。ガザミの濃厚な味わいとトマトソースが相性抜群。そのおいしさは口コミで人気となり、今では開店と同時にオーダーする人も増えています。ガザミは蒸したり、味噌汁の具材にしたりと、いわゆる“家庭の味”として昔から島民に馴染みのある食材だったと話す「キッチン イナバ」オーナーの平良彰健さん。西表島のご出身で、自身が子どもの頃から親しんできたガザミ料理を、観光客はもちろん、地元の人にも味わって欲しいという思いからレストランを開店しました。
「イナバ」という店名は、沖縄県最長の浦内川沿いに実在した集落の名前で、平良さんの故郷でもあります。現在は廃村となり、いつまでも忘れることがないようにと名付けられました。地産地消を大切にしている平良さんは、漁師や猟師と良好な関係を築くことで質の良い食材を仕入れ、地元に根付いたさまざまな料理を提供しています。以前は狩猟免許を持っていましたが、レストランを開くにあたって返納したと言います。「ガザミもリュウキュウイノシシも限りある自然。みんなで取り合うより、漁師や猟師から適正価格で仕入れた方がお互いのためになる。自然の中で暮らしていくためのマイルールです」と語る平良さん。食材への愛情が込められているからこそ、レストランのメニューはどれも印象深い味わいです。島民の島を愛する思いを感じながら西表島の美味をご堪能ください。
沖縄県のトロピカルフルーツといえば沖縄本島北部・東村産のパイナップルや宮古島産のマンゴーが有名ですが、実は西表島のトロピカルフルーツはとても美味しいと訪れた人々が口を揃えて言います。長い日照時間、弱酸性の土壌と豊富な水源、天然のミネラルを運ぶ海風の恩恵を受けて豊潤なトロピカルフルーツが栽培されており、島内ではパイナップルやマンゴーを筆頭に、グァバやレンブ、ドラゴンフルーツ、スターフルーツなど多種多様なトロピカルフルーツが育まれ、島民や観光客がその味わいを楽しんでいます。
島内の宿泊施設やレストラン、カフェなどで提供されるフルーツの中で一番人気なのがパイナップルです。沖縄県産パインの最高級ブランドと称される「ゴールドバレル」や、桃のように甘い香りが特徴的な「ピーチパイン」、流通量が多い「島パイン」などがあります。パイナップルは完熟することで甘みと果汁が内部に蓄えられ、強い酸味もなくなります。根強い人気を誇るマンゴーは、1年で1ヶ月しか収穫できない「アップルマンゴー」や生産が難しく希少価値が高い「キーツマンゴー」などがあり、トロピカルフルーツの王様として君臨しています。完熟期を迎えると自然に木から落ちて食べ頃を教えてくれるマンゴーは、濃厚な甘みで申し分ない美味しさです。
西表島で三代続くフルーツ農家「株式会社農園ファイミール」代表の池村一輝さんは、無農薬と有機栽培を目指しながらフルーツが持つ力を最大限に引き出す独自の農法でパイナップルやマンゴーを栽培しています。「人にも環境にも優しい農業を目指したい」という思いから、肥料の量を調整したり、赤土流出を防ぐためにマルチシートを用いるなど自然に配慮した手法を積極的に取り入れています。また、フルーツの新鮮な美味しさを知ってほしいと「農園カフェ ファイミール」をオープン。市場に出回らない規格外フルーツを活用する場としても役立っています。西表島の人気スイーツ店として観光客はもちろん、地元の人も多く訪れます。パイナップルとマンゴーをそれぞれたっぷり使ったフルーツパフェは素材が持つ美味しさをダイレクトに味わえるのが魅力。アイスクリームやトッピングの焼き菓子は主役のフルーツに合うよう手作りしています。作り手のこだわりがつまった西表島産トロピカルフルーツは、美味しい旅の思い出にぴったりです。
島全体の90%が原生林に覆われた西表島の主幹産業は農業と観光業で、特に稲作が盛んです。山と川があり水源が豊富な環境下で、約500年も前から先人たちは自然と共生しながら稲作文化を育んできました。西表島では同じ田んぼで年に2度稲作を行う二期作が主流で、日本最南端の米どころとして毎年6月には新米が出荷されています。島の西部地区に位置する祖納(そない)集落は、海に面した立地と裏山にあるアラバマの滝が水源的役割を担っており、特に稲作が盛んな地域です。
島内で最も古い集落の祖納では、農作物の豊作に感謝を捧げ、翌年の五穀豊穣や集落の繁栄を祈願する「節祭(しち)」をはじめ、豊年祭や御嶽(うたき)での祈願など稲作にまつわる祭祀が多いことで知られています。その際に用いられていたのが希少な古代米の一種である黒紫米でした。食べられるようになったのはここ数十年ほどで、黒紫米の黒い成分がアントシアニンというポリフェノールの一種であることから健康食品としても注目されています。もち系統である黒紫米はもちもちとした食感が楽しめ、ほんのり感じる自然な甘みも人気を集めています。
品種改良されていない原種の黒紫米は、病気に強いという特性があるものの、脱粒しやすく収穫量が少ないため生産農家はわずかです。島内で3代続く稲作農家であり、野菜や卵などの生産も担う「大浜農園」代表の大浜一将さんは、黒紫米の美味しさを多くの人に知ってもらおうと、島の特産品づくりに取り組んでいます。農薬を使わない栽培を通して自然との共存を目指し、生産から収穫、品質管理、袋詰め作業等、1つ1つ思いを込めて取り組んでいます。そうやって作られた商品は島内のホテルや民宿、スーパーなどに卸されています。「観光で来られる方は島の特産品をお土産にしたいのではないかと思い、黒紫米を商品化しました。美味しさには自信があります」と笑顔で話す大浜さん。今後は農業と観光業をつなぐ食にフォーカスし、環境に負荷を与えない循環型農業を目指しています。西表島の太陽と土と水が育み、作り手が試行錯誤しながら手がけた黒紫米をぜひ味わってください。
奄美大島では琉球王朝や薩摩藩と密接に関わる暮らしのなか、島人たちの生き様や想いを唄にのせることで生まれた伝統民謡「シマ唄」があります。はじまりこそ文献上で記録はされていませんが、夕方になると木陰へ集い、男性と女性が和歌のように掛け合いをする“唄遊び”をはじめ、伝統行事やお祝いごと、冠婚葬祭などさまざまな場面ごとに独自の唄が歌い継がれ心の拠り所として大切にされています。奄美大島において“シマ”とは生まれ育った集落のことを指しています。そのため島内でシマ(集落)ごとに言葉や節回しが違うのも特徴です。
「楽譜や歌詞カードもなく、ブルースやカントリーミュージックのように即興で自分の感情を表現するので、ひとつの曲に歌詞が何千通りもあるんです」。そう言葉を紡ぐ、唄者(うたしゃ)の米田みのりさんにガイドしてもらい向かうのは、奄美市住用町にある「フナンギョの滝」。車から降りてヒカゲヘゴやクワズイモなど亜熱帯の植物が生い茂る林道を15分ほど歩けば到着します。森林に囲まれた手つかずの大自然のなか、かつては信仰の滝として崇められ、ノロの巫女が滝修行に訪れたところでもあったこの場所。マイナスイオンを浴びながら聴く心地いいメロディーは圧巻です。伝わってくるメッセージはもちろんのこと、民謡では禁じ手として避けられる裏声を多用することで生まれる広い音域を楽しめます。島内では唄(歌詞)を勉強すれば、学問の半分はしたのも同然という意味の「唄半学」という言葉があるんだとか。後世に残していくため、シマ唄の普及活動に取り組む唄者さんも多くいらっしゃいます。ホテルへ戻っても、はじめて生で聴いたヨイスラ節が頭から離れません。
日本最大のマングローブ原生林を有する西表島は、そこで生息する生き物の多くが自然の恩恵を受けています。島の名物食材として有名なガザミもそのひとつ。西表島のガザミはノコギリガザミ、別名マングローブガザミとも呼ばれており、マングローブの根元に生息するワタリガニです。大きなハサミが目をひくガザミは甲羅の上部分がノコギリのようにギザギザしており、赤・茶・青緑の体色が特徴。肉厚で弾力のある身はみずみずしく、食べるとほんのりと甘く感じます。コクと深みがある味わいは、マングローブが育んだ養分を存分に取り込んでいる証拠です。
西表島で人気のあるレストラン「キッチン イナバ」では、西表島で捕獲したガザミを使った「ガザミパスタ〜濃厚トマトクリーム〜」を数量限定で提供しています。ガザミの濃厚な味わいとトマトソースが相性抜群。そのおいしさは口コミで人気となり、今では開店と同時にオーダーする人も増えています。ガザミは蒸したり、味噌汁の具材にしたりと、いわゆる“家庭の味”として昔から島民に馴染みのある食材だったと話す「キッチン イナバ」オーナーの平良彰健さん。西表島のご出身で、自身が子どもの頃から親しんできたガザミ料理を、観光客はもちろん、地元の人にも味わって欲しいという思いからレストランを開店しました。
「イナバ」という店名は、沖縄県最長の浦内川沿いに実在した集落の名前で、平良さんの故郷でもあります。現在は廃村となり、いつまでも忘れることがないようにと名付けられました。地産地消を大切にしている平良さんは、漁師や猟師と良好な関係を築くことで質の良い食材を仕入れ、地元に根付いたさまざまな料理を提供しています。以前は狩猟免許を持っていましたが、レストランを開くにあたって返納したと言います。「ガザミもリュウキュウイノシシも限りある自然。みんなで取り合うより、漁師や猟師から適正価格で仕入れた方がお互いのためになる。自然の中で暮らしていくためのマイルールです」と語る平良さん。食材への愛情が込められているからこそ、レストランのメニューはどれも印象深い味わいです。島民の島を愛する思いを感じながら西表島の美味をご堪能ください。
沖縄県のトロピカルフルーツといえば沖縄本島北部・東村産のパイナップルや宮古島産のマンゴーが有名ですが、実は西表島のトロピカルフルーツはとても美味しいと訪れた人々が口を揃えて言います。長い日照時間、弱酸性の土壌と豊富な水源、天然のミネラルを運ぶ海風の恩恵を受けて豊潤なトロピカルフルーツが栽培されており、島内ではパイナップルやマンゴーを筆頭に、グァバやレンブ、ドラゴンフルーツ、スターフルーツなど多種多様なトロピカルフルーツが育まれ、島民や観光客がその味わいを楽しんでいます。
島内の宿泊施設やレストラン、カフェなどで提供されるフルーツの中で一番人気なのがパイナップルです。沖縄県産パインの最高級ブランドと称される「ゴールドバレル」や、桃のように甘い香りが特徴的な「ピーチパイン」、流通量が多い「島パイン」などがあります。パイナップルは完熟することで甘みと果汁が内部に蓄えられ、強い酸味もなくなります。根強い人気を誇るマンゴーは、1年で1ヶ月しか収穫できない「アップルマンゴー」や生産が難しく希少価値が高い「キーツマンゴー」などがあり、トロピカルフルーツの王様として君臨しています。完熟期を迎えると自然に木から落ちて食べ頃を教えてくれるマンゴーは、濃厚な甘みで申し分ない美味しさです。
西表島で三代続くフルーツ農家「株式会社農園ファイミール」代表の池村一輝さんは、無農薬と有機栽培を目指しながらフルーツが持つ力を最大限に引き出す独自の農法でパイナップルやマンゴーを栽培しています。「人にも環境にも優しい農業を目指したい」という思いから、肥料の量を調整したり、赤土流出を防ぐためにマルチシートを用いるなど自然に配慮した手法を積極的に取り入れています。
また、フルーツの新鮮な美味しさを知ってほしいと「農園カフェ ファイミール」をオープン。市場に出回らない規格外フルーツを活用する場としても役立っています。西表島の人気スイーツ店として観光客はもちろん、地元の人も多く訪れます。パイナップルとマンゴーをそれぞれたっぷり使ったフルーツパフェは素材が持つ美味しさをダイレクトに味わえるのが魅力。アイスクリームやトッピングの焼き菓子は主役のフルーツに合うよう手作りしています。作り手のこだわりがつまった西表島産トロピカルフルーツは、美味しい旅の思い出にぴったりです。
島全体の90%が原生林に覆われた西表島の主幹産業は農業と観光業で、特に稲作が盛んです。山と川があり水源が豊富な環境下で、約500年も前から先人たちは自然と共生しながら稲作文化を育んできました。西表島では同じ田んぼで年に2度稲作を行う二期作が主流で、日本最南端の米どころとして毎年6月には新米が出荷されています。島の西部地区に位置する祖納(そない)集落は、海に面した立地と裏山にあるアラバマの滝が水源的役割を担っており、特に稲作が盛んな地域です。
島内で最も古い集落の祖納では、農作物の豊作に感謝を捧げ、翌年の五穀豊穣や集落の繁栄を祈願する「節祭(しち)」をはじめ、豊年祭や御嶽(うたき)での祈願など稲作にまつわる祭祀が多いことで知られています。その際に用いられていたのが希少な古代米の一種である黒紫米でした。食べられるようになったのはここ数十年ほどで、黒紫米の黒い成分がアントシアニンというポリフェノールの一種であることから健康食品としても注目されています。もち系統である黒紫米はもちもちとした食感が楽しめ、ほんのり感じる自然な甘みも人気を集めています。
品種改良されていない原種の黒紫米は、病気に強いという特性があるものの、脱粒しやすく収穫量が少ないため生産農家はわずかです。島内で3代続く稲作農家であり、野菜や卵などの生産も担う「大浜農園」代表の大浜一将さんは、黒紫米の美味しさを多くの人に知ってもらおうと、島の特産品づくりに取り組んでいます。農薬を使わない栽培を通して自然との共存を目指し、生産から収穫、品質管理、袋詰め作業等、1つ1つ思いを込めて取り組んでいます。そうやって作られた商品は島内のホテルや民宿、スーパーなどに卸されています。
「観光で来られる方は島の特産品をお土産にしたいのではないかと思い、黒紫米を商品化しました。美味しさには自信があります」と笑顔で話す大浜さん。今後は農業と観光業をつなぐ食にフォーカスし、環境に負荷を与えない循環型農業を目指しています。西表島の太陽と土と水が育み、作り手が試行錯誤しながら手がけた黒紫米をぜひ味わってください。