太平洋と東シナ海に囲まれた奄美大島では、眩いばかりの白い砂浜に、奄美ブルーと言われる透き通った海が広がり、背後に緑豊かな山々がそびえています。亜熱帯海洋性の気候で温暖多雨の特徴があり、年間の日照時間が日本一短い島といわれるほどの有数な多雨地帯であり、豊富な雨が大地を潤します。海には奄美大島の森を含む山々の栄養分が流れ込むため珊瑚礁には、200種類以上の多様な海洋生物が生息しています。
いざ、シュノーケルボートから煌めく水面へダイブすると、ミドリイシをはじめとする美しい珊瑚や、テーブル珊瑚、枝珊瑚などが織りなす絶景が広がっています。奄美大島の北部に位置する笠利町・ウッタバル(打田原)のスポットは、アマミスズメダイ、カクレクマノミ、デバスズメダイの群れなど希少な魚たちを観察できます。島には、その日の海のコンディション次第で変更できるほどスポットがあるそうで、崖状になっているポイントではウミガメと一緒に泳ぐこともできるとか。ガイドの栄かなこさんが「奄美大島は集落の目の前に珊瑚礁が残っているほど、自然との距離が近いんです」と語るように、人と自然が共存するからこそ守られる多様な海洋生物を楽しめます。
奄美群島認定エコツアーガイドの資格を有するプロフェッショナルな西さんが、次に案内してくれるのは、秘境のコウトリビーチ。船でしか行けないスポットでは、無人島に上陸したようなワクワク感と手付かずの大自然を肌で感じられます。ここでは、ボードとパドルを駆使して水面を自由自在に散策するアクティビティのSUPを、ぜひ満喫してみてください。サーフボードよりサイズが大きく浮力があるので誰でも安心して楽しめ、ひとたび乗ってしまえば、透明感抜群の水面とボードの境界線がなくなり、まるで浮いているように錯覚してしまう“新感覚”が楽しめます。
お気に入りの洋服を洗濯するように、素材色そのものを自由に変えられたら、もっと愛着が湧くはず。アップサイクルやサスティナブルな取り組みが見直されている昨今、日本が誇る手仕事のひとつ「泥染め」が注目を集めています。歴史は古く、奄美大島の伝統工芸品の大島紬で織られる糸からはじまり、1300年余りも大切に継がれてきた世界唯一の伝統技法です。島の方言でテーチ木と呼ばれるシャリンバイをチップ状に砕き染料として煮出すことからスタートし、煮汁で生地を褐色へと染め、洗い流し、泥田で揉み込み、鉄分と化学変化させることで朱色から黒へと染色されます。80~100回ほど繰り返し手間ひまをかけることで、大島紬で使われるような深い黒色へと染めあがっていきます。
この染色技法を教えてくれるのは、龍郷町に工房『金井工芸』を構える染色人・金井志人さん。家業として大島紬の原料(絹)を泥染めする仕事を担いながら、作家としても国内外で活躍しています。金井さん曰く、「泥染めは他の草木染めと比べて、いろいろな色が生まれる“振り幅”がある技法」。発色具合を見極め、染料の濃度をブレンドしていく手仕事から生まれる逸品は、自然の偶然性が生み出す美しいムラと柔らかな風合いが特徴です。
テキスタイルサンプルを参考に、さまざまな絞り方を提案してくれるだけでなく、ゼロから順を追って教えてくれます。職人たちが作業をする活気ある工房で実際に体験できるのが『金井工芸』での醍醐味。実際に出来上がった一枚は、絞り方や揉み込むときの力加減が独特の表情を生み出し、同じものがひとつと存在しないアートピースに。さらに「こんなモノも染めていいの? というくらい実験的な場所にしたいです」と語るように、洋服だけでなくいろいろな素材の持ち込みがOK。亜熱帯の植物に囲まれた風景を横目に泥色に染まった手を見れば、大人のためのテーマパークのような場所になるでしょう。
珊瑚がひしめくエメラルドグリーンの海、青々としたフクギ並木や浜辺に自生するアダン林。ファンタジーの世界に飛び込んだような美しい景色にうっとりするもつかの間、少し離れた場所には、NHK大河ドラマ・西郷どんのロケ地である「宮古崎」や奄美群島最高峰の湯湾岳などダイナミックな景観が広がります。島の西岸に位置する大和村国直集落は、「世界自然遺産奄美トレイル」コースとして認定され、今もなお自然の原風景が残る小さな集落です。シマ(集落)ごとに方言も違えば育まれた文化も違いますが、国直は半農半漁の集落として、およそ110名の住民が暮らしています。
海との関わりが深く、漁師でなくとも子供から女性まで自分たちで海の恵みを獲り、消費するのが日常。「タコ捕り名人の叔父は作業着のまま海に入って捕まえてくるんだよ」と、ガイドの中村修さんが教えてくれるように、潜れば魚を中心に伊勢エビやモズク、浅瀬ではマガキガイ(テラジャ)やアオサなど豊かな生態系が広がっています。白砂が美しい国直海岸は、アオウミガメが産卵するスポットとしても有名で、産卵シーズンの夏はその姿を観察できることもあります。
「国直ブラ歩きツアー」では、青壮年団や老人クラブなどのメンバーが実際に集落を案内しながら、日々の営みを紹介してくれます。例えば屋敷林として植えられたフクギ並木は、集落を火事や台風から守ってきたことや、夕暮れには誰からともなく海岸に“ゆらう”(集う)こと。「こんなことがあったよ」と日々の出来事を話し、お酒を飲みながら、ご馳走をみんなでわかちあう。アクティビティがあるような観光地ではないけれど、その地に溶け込む文化を体験できるのがこのツアーの醍醐味。自然への敬意と人々の思いやりが満ちた島人(しまんちゅ)の暮らしを一緒に感じてみませんか。
奄美大島では琉球王朝や薩摩藩と密接に関わる暮らしのなか、島人たちの生き様や想いを唄にのせることで生まれた伝統民謡「シマ唄」があります。はじまりこそ文献上で記録はされていませんが、夕方になると木陰へ集い、男性と女性が和歌のように掛け合いをする“唄遊び”をはじめ、伝統行事やお祝いごと、冠婚葬祭などさまざまな場面ごとに独自の唄が歌い継がれ心の拠り所として大切にされています。奄美大島において“シマ”とは生まれ育った集落のことを指しています。そのため島内でシマ(集落)ごとに言葉や節回しが違うのも特徴です。
「楽譜や歌詞カードもなく、ブルースやカントリーミュージックのように即興で自分の感情を表現するので、ひとつの曲に歌詞が何千通りもあるんです」。そう言葉を紡ぐ、唄者(うたしゃ)の米田みのりさんにガイドしてもらい向かうのは、奄美市住用町にある「フナンギョの滝」。車から降りてヒカゲヘゴやクワズイモなど亜熱帯の植物が生い茂る林道を15分ほど歩けば到着します。森林に囲まれた手つかずの大自然のなか、かつては信仰の滝として崇められ、ノロの巫女が滝修行に訪れたところでもあったこの場所。マイナスイオンを浴びながら聴く心地いいメロディーは圧巻です。伝わってくるメッセージはもちろんのこと、民謡では禁じ手として避けられる裏声を多用することで生まれる広い音域を楽しめます。島内では唄(歌詞)を勉強すれば、学問の半分はしたのも同然という意味の「唄半学」という言葉があるんだとか。後世に残していくため、シマ唄の普及活動に取り組む唄者さんも多くいらっしゃいます。ホテルへ戻っても、はじめて生で聴いたヨイスラ節が頭から離れません。
太平洋と東シナ海に囲まれた奄美大島では、眩いばかりの白い砂浜に、奄美ブルーと言われる透き通った海が広がり、背後に緑豊かな山々がそびえています。亜熱帯海洋性の気候で温暖多雨の特徴があり、年間の日照時間が日本一短い島といわれるほどの有数な多雨地帯であり、豊富な雨が大地を潤します。海には奄美大島の森を含む山々の栄養分が流れ込むため珊瑚礁には、200種類以上の多様な海洋生物が生息しています。
いざ、シュノーケルボートから煌めく水面へダイブすると、ミドリイシをはじめとする美しい珊瑚や、テーブル珊瑚、枝珊瑚などが織りなす絶景が広がっています。奄美大島の北部に位置する笠利町・ウッタバル(打田原)のスポットは、アマミスズメダイ、カクレクマノミ、デバスズメダイの群れなど希少な魚たちを観察できます。
島には、その日の海のコンディション次第で変更できるほどスポットがあるそうで、崖状になっているポイントではウミガメと一緒に泳ぐこともできるとか。ガイドの栄かなこさんが「奄美大島は集落の目の前に珊瑚礁が残っているほど、自然との距離が近いんです」と語るように、人と自然が共存するからこそ守られる多様な海洋生物を楽しめます。
奄美群島認定エコツアーガイドの資格を有するプロフェッショナルな西さんが、次に案内してくれるのは、秘境のコウトリビーチ。船でしか行けないスポットでは、無人島に上陸したようなワクワク感と手付かずの大自然を肌で感じられます。ここでは、ボードとパドルを駆使して水面を自由自在に散策するアクティビティのSUPを、ぜひ満喫してみてください。サーフボードよりサイズが大きく浮力があるので誰でも安心して楽しめ、ひとたび乗ってしまえば、透明感抜群の水面とボードの境界線がなくなり、まるで浮いているように錯覚してしまう“新感覚”が楽しめます。
お気に入りの洋服を洗濯するように、素材色そのものを自由に変えられたら、もっと愛着が湧くはず。アップサイクルやサスティナブルな取り組みが見直されている昨今、日本が誇る手仕事のひとつ「泥染め」が注目を集めています。歴史は古く、奄美大島の伝統工芸品の大島紬で織られる糸からはじまり、1300年余りも大切に継がれてきた世界唯一の伝統技法です。
島の方言でテーチ木と呼ばれるシャリンバイをチップ状に砕き染料として煮出すことからスタートし、煮汁で生地を褐色へと染め、洗い流し、泥田で揉み込み、鉄分と化学変化させることで朱色から黒へと染色されます。80~100回ほど繰り返し手間ひまをかけることで、大島紬で使われるような深い黒色へと染めあがっていきます。
この染色技法を教えてくれるのは、龍郷町に工房『金井工芸』を構える染色人・金井志人さん。家業として大島紬の原料(絹)を泥染めする仕事を担いながら、作家としても国内外で活躍しています。金井さん曰く、「泥染めは他の草木染めと比べて、いろいろな色が生まれる“振り幅”がある技法」。発色具合を見極め、染料の濃度をブレンドしていく手仕事から生まれる逸品は、自然の偶然性が生み出す美しいムラと柔らかな風合いが特徴です。
テキスタイルサンプルを参考に、さまざまな絞り方を提案してくれるだけでなく、ゼロから順を追って教えてくれます。職人たちが作業をする活気ある工房で実際に体験できるのが『金井工芸』での醍醐味。実際に出来上がった一枚は、絞り方や揉み込むときの力加減が独特の表情を生み出し、同じものがひとつと存在しないアートピースに。さらに「こんなモノも染めていいの? というくらい実験的な場所にしたいです」と語るように、洋服だけでなくいろいろな素材の持ち込みがOK。亜熱帯の植物に囲まれた風景を横目に泥色に染まった手を見れば、大人のためのテーマパークのような場所になるでしょう。
珊瑚がひしめくエメラルドグリーンの海、青々としたフクギ並木や浜辺に自生するアダン林。ファンタジーの世界に飛び込んだような美しい景色にうっとりするもつかの間、少し離れた場所には、NHK大河ドラマ・西郷どんのロケ地である「宮古崎」や奄美群島最高峰の湯湾岳などダイナミックな景観が広がります。
島の西岸に位置する大和村国直集落は、「世界自然遺産奄美トレイル」コースとして認定され、今もなお自然の原風景が残る小さな集落です。シマ(集落)ごとに方言も違えば育まれた文化も違いますが、国直は半農半漁の集落として、およそ110名の住民が暮らしています。
海との関わりが深く、漁師でなくとも子供から女性まで自分たちで海の恵みを獲り、消費するのが日常。「タコ捕り名人の叔父は作業着のまま海に入って捕まえてくるんだよ」と、ガイドの中村修さんが教えてくれるように、潜れば魚を中心に伊勢エビやモズク、浅瀬ではマガキガイ(テラジャ)やアオサなど豊かな生態系が広がっています。白砂が美しい国直海岸は、アオウミガメが産卵するスポットとしても有名で、産卵シーズンの夏はその姿を観察できることもあります。
「国直ブラ歩きツアー」では、青壮年団や老人クラブなどのメンバーが実際に集落を案内しながら、日々の営みを紹介してくれます。例えば屋敷林として植えられたフクギ並木は、集落を火事や台風から守ってきたことや、夕暮れには誰からともなく海岸に“ゆらう”(集う)こと。「こんなことがあったよ」と日々の出来事を話し、お酒を飲みながら、ご馳走をみんなでわかちあう。アクティビティがあるような観光地ではないけれど、その地に溶け込む文化を体験できるのがこのツアーの醍醐味。自然への敬意と人々の思いやりが満ちた島人(しまんちゅ)の暮らしを一緒に感じてみませんか。
奄美大島では琉球王朝や薩摩藩と密接に関わる暮らしのなか、島人たちの生き様や想いを唄にのせることで生まれた伝統民謡「シマ唄」があります。はじまりこそ文献上で記録はされていませんが、夕方になると木陰へ集い、男性と女性が和歌のように掛け合いをする“唄遊び”をはじめ、伝統行事やお祝いごと、冠婚葬祭などさまざまな場面ごとに独自の唄が歌い継がれ心の拠り所として大切にされています。奄美大島において“シマ”とは生まれ育った集落のことを指しています。そのため島内でシマ(集落)ごとに言葉や節回しが違うのも特徴です。
「楽譜や歌詞カードもなく、ブルースやカントリーミュージックのように即興で自分の感情を表現するので、ひとつの曲に歌詞が何千通りもあるんです」。そう言葉を紡ぐ、唄者(うたしゃ)の米田みのりさんにガイドしてもらい向かうのは、奄美市住用町にある「フナンギョの滝」。車から降りてヒカゲヘゴやクワズイモなど亜熱帯の植物が生い茂る林道を15分ほど歩けば到着します。森林に囲まれた手つかずの大自然のなか、かつては信仰の滝として崇められ、ノロの巫女が滝修行に訪れたところでもあったこの場所。
マイナスイオンを浴びながら聴く心地いいメロディーは圧巻です。伝わってくるメッセージはもちろんのこと、民謡では禁じ手として避けられる裏声を多用することで生まれる広い音域を楽しめます。島内では唄(歌詞)を勉強すれば、学問の半分はしたのも同然という意味の「唄半学」という言葉があるんだとか。後世に残していくため、シマ唄の普及活動に取り組む唄者さんも多くいらっしゃいます。ホテルへ戻っても、はじめて生で聴いたヨイスラ節が頭から離れません。