希少動物が多く生息している奄美群島でも、トクノシマトゲネズミやアマミノクロウサギなど、多くの国指定天然記念物が生息する徳之島。また、島内には「鹿児島のすぐれた自然」や「特定植物群落」などにおいて、合計20件の植物群落が選定されています。
常 加奈子さん(つね かなこ・NPO法人 徳之島虹の会所属)
https://tokunoshima-guide.jimdo.com/
生まれも育ちも徳之島。
島を離れ、久しぶりに帰ると海底が灰色になっていたことにショックを受け、サンゴについて知りたくなり沖縄へ。水族館でサンゴ調査や生き物解説などに携わり、そこで海・川・森と、循環する自然の営みに改めて感動し、その中で生かされていることを実感。現在は徳之島で、自身が感じ、学んだ島の魅力を人に伝え、人と考え、共に楽しめるようガイドとしても腕を磨いています。
ギネスブックで長寿世界一に認定された方など、100歳以上の方が多い“長寿の島”徳之島。長生きの秘訣は、豊かな自然の中で永く育まれてきた人の暮らしにあると、常さんは言います。「多様な生き物が数多く残っている自然豊かな島なんです。だからその中で育った人たちは、たくましいんです。」
沖縄でサンゴを学んだ後、島に帰ってきた常さんは、この島を全然知らなかった自分に気が付いたのだと言います。沖縄で出会った自然の魅力を徳之島でも感じ、「もっと生まれ育った徳之島を知りたい」と思ったことをきっかけに、現在の「徳之島虹の会」メンバーと海や川、山や森など様々な場所に足を運んでいます。
エネルギーに満ち溢れたご神木「ガジュマル」をはじめ、イタジイやオキナワワウラジロガシなど、昔から脈々と育まれてきた自然や、北部に広がる海岸の景観、一目でパッと分かる魅力はもちろん、一目見ただけでは気付くことのできない自然の美しさをガイドとして伝えていきたいと、常さんは語ります。
ここ徳之島には「聖地」と言われ、神が宿ると伝えられているスポットが多く存在しています。それを島口で「テラ(照らすの意味)」と言い、昔から神様がいる場所として大切にされてきたため開発を免れたり、先祖の方が採らずにいたことで、今もなお、貴重な動植物が多く残っているのだと言います。
最後に常さんに、徳之島に訪れた人にどんな気持ちで帰ってほしいか尋ねると、こう話してくれました。「徳之島にしかない魅力を感じて帰って欲しいと思います。そのためには、私たちガイドの“腕”が必要だと思います。豊かな自然はもちろん、人も温かく面白いんですよ。それぞれの魅力を感じて帰っていただけたら嬉しいです。」